夢の旋律が響く夜:才能溢れる若手アーティストたちが織りなす感動のステージ

水道橋の静謐なエリアに佇むライブハウス「Words」が、この夜、四人の輝く才能で満ちあふれていた。『夢をつぐ部屋 Vol.6』と名付けられたこの特別なイベントは、単なる音楽ショーを超え、アーティストたちの人生哲学と情熱が赤裸々に語られる貴重な空間となった。
コンパクトながらも温かみのある会場は、アーティストと観客の距離を限りなく近づけ、まるで親しい友人の語らいを聴くような親密な雰囲気を醸し出していた。「ゆあみゅ」と「LaLaLu」の共同開催によるこのイベントは、商業主義に染まらない、純粋な音楽体験の場を提供することに成功している。
今宵のステージに立ったのは、高校卒業直前の若き才能・toco、テレビ東京「めをとじ」シーズン2優勝のあかたん、音楽を友達として苦難を乗り越えてきたべビ、そして会社員から歌手へと転身したAiAi——。それぞれが異なる背景と物語を持ちながらも、「音楽への情熱」という共通の糸で結ばれた彼女たちの歌声と言葉は、観客の心の琴線に深く触れるものだった。
ライブレポートが語る彼女たちの姿は、音楽業界の厳しさに立ち向かいながらも、夢を諦めず前進し続ける若きアーティストたちの姿そのもの。この夜、「Words」という小さな箱は、大きな夢と情熱で溢れていた。

toco – 夢を追い続ける高校生シンガー

ライブの一番手を飾ったのはtoco。ステージに立った瞬間から、会場の空気が変わった。高校3年生のtocoは、その透明感のある歌声と等身大の言葉で観客を魅了した。MCでは自身の音楽への道のりを赤裸々に語り、聴衆の心を掴んだ。
「もともとは勉強して良い大学に行き、良い就職先を見つけることが夢だった」という彼女。しかし、それは自分の本当にやりたいことではなく、「やれって言われているようなこと」だったと振り返る。音楽が身近にあった環境で育ち、初めて配信アプリで歌い始めたところから彼女の音楽人生は動き出した。
様々な音楽イベントに出演し、グランプリも獲得。東京ガールズコレクションや「超十代」といったイベントにも参加する機会を得た彼女は、4月16日にはオリジナル曲のサブスク配信を控えている。「2025年内にオリジナル曲を5曲持って、オリジナル曲だけで一つのライブを成功させること」—それが彼女の次なる夢だ。
心に刺さるパフォーマンス
この日のライブでtocoは、SUPER BEAVERの楽曲をカバーし、諦めなければ道は開けるという力強いメッセージを伝えた。「つらいなって思った時にこの曲を思い出して、もうちょっと頑張ってみようかなって気持ちになってくれたら嬉しい」という彼女の言葉には、自身の経験から来る説得力があった。
続いて披露したRADWIMPSの「正解」は、彼女が中学、高校の卒業式で歌った思い入れのある一曲。「新しい生活に抜けて不安がある時でも明るい未来が見えるっていうか、今までの頑張った経験を全部持っていけばどうにかなるな」と、卒業を目前に控えた彼女自身の心境を映し出すような選曲だった。
さらに「ねぐせ。」の「日常革命」をカバーした際には、「今居てくれてる人は当たり前じゃない」という感謝の気持ちを込めた歌唱が、会場の空気を一層温かいものに変えた。
未来への一歩
ライブの最後に彼女は、会場に集まったすべての人に感謝の言葉を述べた。「toco指名じゃなくても皆さんに感謝を伝えたい」というその言葉には、彼女の誠実な人柄が表れていた。
InstagramやPocochaでの配信活動も精力的に行っているtocoの今後の活動から目が離せない。自分の夢を見つけ、それに向かって「がむしゃらに走っていく」彼女の姿は、会場に集まった全ての人に勇気と希望を与えるものだった。
高校卒業という人生の節目を迎え、音楽の道を選んだtocoの旅路は、まだ始まったばかり。彼女の真っ直ぐな情熱と透き通る歌声が、より多くの人々の心に届くことを願わずにはいられない。
あかたん – テレビ東京「めをとじ」シーズン2優勝者の輝き

魂を揺さぶるパフォーマンス
最初に披露したOfficial髭男dismの「ビンテージ」では、彼女の透明感のある歌声が会場いっぱいに響き渡った。続いて自身のオリジナル曲「冬凪」を披露する際には、「オリジナル曲もあったら良いなと思って作ってみました」と謙虚に語り、その創作への情熱が伝わってきた。
彼女の歌声には、これまでの経験から生まれた深みがあり、特にVaundyの「しわあわせ」を歌った際には、「ファンの人を思いながら歌っていきたい」という言葉通り、感謝の気持ちが満ちあふれていた。
音楽への思いと夢
MCでは「自分が歌ってる意味って、やっぱり聞いてくださる人がいるからだと思う」と語ったあかたん。歌をやめたり始めたりを繰り返しながらも、「1人でも歌ってって言ってくれる人がいたからずっと歌って来れた」と、聴衆への感謝を忘れない。
「めをとじ」での優勝経験は彼女に大きな自信を与えたようだ。「優勝できたということは優勝できなかった方がいらっしゃると思うんですけど、本当になんか素敵な歌声ばかりの方々ですごい刺激になった」と振り返り、共演者たちへの敬意を示した。
「めをとじ」で優勝した責任を胸に、「全力で頑張っていこうと思います」と力強く宣言する彼女の姿には、観客の心を打つ真摯さがあった。
次なるステージへ
ライブの最後には、出会いと別れの季節にふさわしい「春愁」を披露し、観客を感動の渦に巻き込んだ。あかたんは3月13日に中目黒でのライブも予定しており、その活動の幅を着実に広げている。
YouTubeでの歌い手活動やボカロカバー、そしてオリジナル曲の制作と、多彩な才能を持つあかたん。路上ライブから「めをとじ」優勝、そしてドラマ主題歌と、着実にキャリアを積み上げているこの若きシンガーの今後から目が離せない。
彼女の言葉にあるように、「いろんな人と刺激をもらいながら活動する」ことの喜びを実感したこの日のライブは、あかたんにとっても、観客にとっても特別な時間となった。その透き通るような歌声と誠実な人柄で、彼女はこれからもリスナーの心を掴んでいくだろう。
べビ – 音楽を友達に、魂の救いを歌に込めて

舞台上に現れた瞬間から、会場の空気を一変させる明るさと独特のオーラを放っていたのがべビだ。自己紹介で「いつもはライブハウスで歌ったり、KARASTAというアプリに歌投稿したり、千葉県柏の不良メイド喫茶Bar黒月でコンカフェ嬢として働いています」と多彩な活動を紹介した彼女は、その明るい笑顔の裏に秘めた深い音楽への想いを、真摯に語ってくれた。
音楽との出会い – 小学生時代の救い
べビが音楽を志すきっかけとなったのは、自ら「暗黒期」と呼ぶ小学4年生から中学3年生までの苦しい日々だった。「地元にも居たくない。家にも居たくない。大人も友達も信頼していない」という孤独な時代に、学校の宿泊学習のバスで行われたカラオケ大会で歌った経験が転機となった。
強制的に歌うことになった彼女だったが、歌い終わった時に「歌うまいね!すごいね!」と同級生たちから称賛を浴びた。「音楽でなら私強くなれるのかもしれない。歌えば友達もできるかもしれない」─その時の感覚が、人前で歌うことの原点となった。
「今日はその時に歌った曲を歌いたいと思います」と語り、中島美嘉の「雪の華」を披露した彼女の歌声には、当時の記憶と今の感謝が染み込んでいた。
テレビ東京「めをとじ」での経験
べビもまた、あかたんと同様にテレビ東京の「めをとじ」に出演経験があるという。あかたんとは違うシーズンではあったが、顔を出さずに歌だけで審査される番組での経験は彼女にとって大きな転機だった。
「自分にめちゃめちゃ自信がなくて、自分の歌の何が良くて何がダメで、みんな何を聞きたいんだろう、私の良さは何だろうみたいなもうずーっとぐるぐる毎日葛藤が続いていた」と語る彼女。特にライブ配信者として活動する中で「容姿だけで見られることにコンプレックスがあって、自分の歌をみんな聞いてるのかな」という疑問を抱えていたという。
「めをとじ」での経験を通じて、「あ、私って歌っていいんだな」と思えたことが大きな自信につながったようだ。そんな番組内で審査員から称賛を受けたMrs. GREEN APPLEの「ケセラセラ」を披露した彼女の表現力は、観客を魅了した。
音楽 – 永遠の友達
ライブの最後に語った言葉が、べビの音楽に対する姿勢を象徴している。「私はもう小学校の頃からもう音楽が友達で、私をいつもいつも苦しい時辛い時助けてくれたのはいつも音楽です。励ましてくれたのも音楽です。だから音楽が親友だから私はこの活動をしている」。
彼女にとって音楽は収入を得る手段ではなく、自分を救ってくれた存在であり、今度は自分が誰かを救うための媒体なのだ。「私の歌とかこうやってライブを見て、ちょっとでも日常忘れられたり、辛いことあったけどべビのライブ見たらちょっとだけ飛んでたな、とか。なんかそういうみんなのちょっとした助けに自分の歌がなってればいいな」という思いを胸に活動している。
ソロとして初めて作った楽曲「リバティ」で締めくくられたライブは、観客に「幸せにするおまじない」のような温かい余韻を残した。「皆さんを幸せにするおまじないのような曲ができたらいいな」という彼女の願いは、確かに会場にいる全ての人の心に届いたようだった。
明るい笑顔の裏に秘めた苦難の過去と、それを乗り越えてきた強さ。べビの歌声には、そんな人生の深みが感じられた。これからも彼女の「音楽で誰かの友達になりたい」という願いを乗せた歌声が、多くの人の心に寄り添っていくことだろう。
AiAi(あいあい) – 雨女から雨を味方に、会社員から歌手へ

ステージに立った瞬間から、その饒舌さと溢れるエネルギーで会場を一気に魅了したのがAiAiだ。「口から生まれたんじゃないかっていうぐらいおしゃべり」と自称する彼女の話術は、観客を引き込む強力な武器となっていた。
愛媛県出身のAiAiは、他のパフォーマーとは異なるキャリアパスを歩んできた。彼女は子供の頃から音楽活動を志していたわけではなく、一度は会社員として2年間働いた後、「本気で決意して会社員を割と勢いでやめてしまって、上京して1人で音楽活動を始めた」という。現在は活動3年目を迎えている。
苦難の道のりと成長
活動を始めた当初、彼女は「ライブハウスだったりとか路上ライブとかもやったことがなく、ファンの方とかも全然いなかった」と振り返る。「すべてが初めてで手探りでやりだした」という日々は、「収入もなくて、もやし生活をして1ヶ月で4kg痩せた」という苦労も伴った。
しかし、そんな「突っ走ってきた2年」の成果が実を結び、今年1月には「ライブ活動を始める時に目標の1つとしていたテレビのタイアップを掴み取った」と語る。「某Fテレビの坂上忍のゴールドラッシュという特番」のテーマソングに選ばれたという成果は、彼女の努力の証だ。
雨との関係性と音楽
AiAiは自身を「めちゃめちゃ雨女」と表現し、人生の大事な場面でいつも雨に見舞われてきたという。しかし、去年の8月に路上ライブで「Instagram のフォロワー5000人行くまで終われません」という企画をした際、目標達成と同時に雨が降り出したことをきっかけに「あ、なんか私雨に好かれてるかも」と考え方が変わったという。
その経験から生まれた楽曲「雨が降る日に」は、彼女のマインドセットの変化を象徴している。「雨が私の味方してくれてるな」という気持ちで作ったこの曲は、困難を前向きに捉え直す彼女の姿勢を表している。
メンタルの成長と音楽制作
活動開始当初から「臨戦態勢」で過ごしてきたというAiAi。「大人になってから活動を始める」ことについて周囲から言われたことも多く、「自分で自分を攻撃を最大の防御みたいな感じにして守るしかなかった」と語る。
そんな「尖ってた時期」に作った楽曲「さよなら」を披露した彼女は、現在は「心が落ち着きまして、なんかもう凪って感じ」になったと話す。活動の中で受けた批判や否定的なコメントにいちいち反応せず、「可愛い!みたいな気持ちになれるようになった」という心境の変化は、アーティストとしての成長を感じさせる。
未来への展望
活動開始時はオリジナル曲が1曲しかなかったというAiAiだが、現在は「数えれないほど」曲数が増え、「夏にアルバムも出したい」という目標も語った。1年前の自分と比較して大きく成長した彼女は、「自分がこれからどうなってきたのか、過去をどうだったのか、どういう思いがあって今の私がここにいて、これからどうなっていきたいのか」という思いを込めた楽曲で、ライブの締めくくりとした。
かつての会社員から、テレビタイアップを獲得するシンガーソングライターへと変貌を遂げたAiAi。その情熱的なパフォーマンスと率直な言葉は、夢を追い続けることの価値と、困難を乗り越えて成長する喜びを観客に伝えた。
彼女が着実に歩んできた3年間の道のりは、音楽の道を志す全ての人々にとって、勇気と希望を与える物語となっている。雨をも味方につけたAiAiの今後の活躍から、目が離せない。
ライブが教えてくれた「夢をつぐ部屋」の意味
各アーティストのMCやパフォーマンスから見えたライブのテーマ
この夜、「夢をつぐ部屋」というイベント名の真髄が、四人のアーティストのパフォーマンスと言葉を通して鮮明に浮かび上がった。
高校卒業を目前に控えたtocoは、「勉強ばかりしてたら絶対なかったようなことが目の前に来てる」という言葉と共に、自分の本当にやりたいことを追求する勇気の大切さを体現していた。「2025年内にオリジナル曲を5曲持って、オリジナル曲だけを歌って一つのライブを成功させる」という明確な目標は、若き彼女の夢の一歩一歩が形になる過程を示している。
「めをとじ」シーズン2優勝者のあかたんは、「1人でも歌ってって言ってくれる人がいたからずっと歌って来れた」という言葉で、音楽活動における支援者の大切さを語った。彼女にとって「夢をつぐ」とは、自分を応援してくれる人々との絆を大切にしながら、才能を育てていくことの意味があった。
べビのステージからは、「音楽が友達で私をいつもいつも苦しい時辛い時助けてくれた」という力強いメッセージが届けられた。彼女にとって音楽は単なる表現手段ではなく、人生の支えであり、今度は自分が「みんなの友達になれるような音楽」を作ることで、その恩返しをしようとする姿勢が感動を呼んだ。
会社員から音楽の道へと転身したAiAiの言葉には、「自分がこれからどうなってきたのか、過去をどうだったのか、どういう思いがあって今の私がここにいて、これからどうなっていきたいのか」という深い内省があった。彼女の経験は、年齢や経歴に関わらず、夢に向かって一歩を踏み出す勇気の大切さを教えてくれる。
観客や会場の空気感から感じ取れたメッセージ
ライブハウス「Words」の小さな空間は、この夜、アーティストとファンの距離を限りなく近づけ、まるで親しい友人の語らいを聴くような親密な雰囲気に包まれていた。観客の表情からは、単に音楽を楽しむだけでなく、それぞれのアーティストの人生の物語に共感し、自分自身の夢や目標について考えさせられる時間を過ごしていることが伝わってきた。
MCの間の静寂は、アーティストの言葉一つ一つに真剣に耳を傾ける観客の姿勢を表し、歌が終わるたびに沸き起こる拍手は、その表現に共感する心の声のようだった。特に、アーティストが自分の弱さや不安を素直に語る場面では、会場全体が温かな理解と応援の雰囲気に包まれていた。
この空間で共有されたメッセージは明確だった。「夢をつぐ」とは、完璧な状態で夢を追いかけることではなく、時に立ち止まり、時に挫折しながらも、自分の情熱を信じて前に進み続けること。そして、その過程で出会う人々との絆を大切にしながら、互いの夢を支え合い、共に成長していくこと。
小さなライブハウスで交わされたこの夜の経験は、音楽という形を借りた、人生の真理の共有の場だったと言えるだろう。
おわりに〜次の夢へとつなげて〜
今後のライブ予定やゆあみゅの展望
「ゆあみゅ」と「LaLaLu」のパートナーシップによる『夢をつぐ部屋』シリーズは、今回のVol.6を経て、さらなる進化を目指している。主催者からは、今後も定期的にこのシリーズを継続し、より多くの才能あるアーティストに表現の場を提供していく意向が示された。
次回の『夢をつぐ部屋 Vol.7』は3月22日に開催予定で、出演アーティストも決定している。このイベントの特徴である「少数の出演者」と「密接なファン交流」の形式は維持しつつ、テーマやコンセプトにさらなる深みを加えていくという。
また、「ゆあみゅ」は音楽配信プラットフォームとの連携も模索しており、ライブで披露されたオリジナル曲の配信サポートや、アーティストの活動をより広範囲に届けるための取り組みも計画中だ。「音楽家とファンが深くつながり、新しい音楽の価値を発見できる場」というビジョンの実現に向け、オンラインとオフラインを融合させた活動の拡大が期待される。
ファンへのメッセージや次回ライブの告知などの情報
この日のライブでも告知されたように、出演アーティストたちの今後の活動も目が離せない。
tocoは4月16日にオリジナル曲のサブスク配信を予定しており、InstagramやPocochaでの配信も精力的に行っている。あかたんは3月13日に中目黒「ウープウープスループス」でのライブを控えており、路上ライブやTikTok配信でも活動を続けている。べビも千葉県柏の「不良メイド喫茶Bar黒月」での活動や、KARASTAアプリへの歌投稿を継続中だ。AiAiのテレビタイアップ曲「雨が降る日に」はTVerでも視聴可能で、夏には初のアルバム制作も視野に入れているという。
「夢をつぐ部屋」の公式SNSでは、これらのアーティスト情報や次回イベントの詳細が随時更新される予定だ。また、今回のライブの様子は編集されたダイジェスト映像としてYouTubeチャンネルで公開される計画もあり、当日参加できなかったファンも彼女たちの感動的なパフォーマンスの一部を体験できるだろう。
この夜、「Words」で交わされた夢と音楽の物語は、ここで終わりではなく、それぞれのアーティストとファンの心の中で、次の夢へとつながっていく。彼女たちの歌声が紡ぐ未来の軌跡に、これからも注目していきたい。
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